ニューハーフの方から頂戴した名刺

私の名刺入れの中に、ひときわ異彩を放っている名刺がある。

それは、他の名刺よりも一回りほど小さく、角が丸く、そしてピンク色をしている。何を隠そう、ニューハーフの方から頂戴した名刺なのだ。私の仕事は音楽スタジオの受付や運営なのだが、ボーカルの練習がしたいと来店されたのだ。

どうやら、オーディションの歌唱審査の練習らしかった。スタジオの料金や設備や仕組みの説明をしているうちに、その方はバッグから名刺を取り出し、今度雑誌に載る予定だから、という言葉と共に私に渡して来たのだ。

残念ながら、どう見ても男性が女装をしているようにしか見えないそのニューハーフの方の名刺には、芸名の横に赤いハートのシールが貼られてあり、それだけでも十分強烈なインパクトであった。形、大きさ、色からして他の名刺とは一線を隔しているが、それ以上にご本人のインパクトの強さから、今ではある意味とても貴重なものとなっている。

このような方とお近付きになれたことを喜ぶべきなのかもしれない、と最近思うのだ。

名刺印刷をしている施設